論外くんは大学病院の後期研修医。
そこでの修了式での出来事。
指導医 「君は成功する。」
できる研修医 「ありがとうございます。」
指導医 「君は色々あったね。」
論外くん 「あ、あ、ありがとうございます。」
論外くんはあろうことか笑いをこらえるのに必死でした。
なぜなら、『は』が『と』だったらちょっと大変は意味になってしまうなという考えが頭を占拠していたからです。男同士でいけませんとか思っていました。
論外くんはなんとか笑いの波をこらえると、ちょっとまともなことを考えていました。
成功するとかしないとか、そんなこと誰にわかるのか。
運や時、周りの環境や人、自分ではコントロールできない要素だっていっぱい絡むのでしょう。その成功とやらは。
そもそも、成功するとかしないとか、どーでもいいと論外くんは思っていました。
もちろん隣の研修医に対する嫉妬もあったのでしょう。
論外くんはみだらな発想からの笑いをこらえた後、真面目くさった顔で、成功なんてどうでもいい。第一、定義がよくわからん。成功なんかよりも万倍大事なことがあるはずだと自分を慰め、再び捲土重来を期していました。