
- 作者: G.キングスレイウォード,G.Kingsley Ward,城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/04/01
- メディア: 文庫
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父から息子にあてた手紙を集めた本です。
本当はキングスレイは出版するつもりはなくて、ただ、たった一人の息子に向けて書いた手紙でした。
その手紙には言葉にできない愛がいっぱい詰まっていることを感じます。
私が好きな箇所は大学を半年休学して旅に出たいと言い出した時の手紙と、大学の成績が遊び過ぎて下降していった時の手紙です。
エピソード1
大学を休学して旅に出ると言い出す息子にこう言って説得するんです。
「休学するのを辞めてくれたら、大学の夏季休暇を利用して行ってくれるなら旅の費用を出すぞ」
キングスレイはお金で釣る作戦に出ました(笑)
父はちゃんと見抜いていたんです。ただ勉強から逃避したいのだと。
そして勉強から離れたら再び走り出すのに時間がかかることも、エンジンを切らない方が良い事も、ちゃんと見抜いていた。
私は自分の経験からも全面的に賛成できます。
私はしばらく勉強を全くしなかった時期があります。
勉強を再開した時、河合塾の全統模試であまりのできなさに愕然としたことを覚えています。2浪目の5月のことです。全科目が偏差値40台でした・・・
エピソード2
その後、忠告に従った息子でしたが今度は大学の成績が下降していった時の話。
「Dという奇妙な文字が通知表に並んでいるが、どう見たらよいのだ?」
とユーモアたっぷりの父。
そしてこのまま挽回しないつもりなら、わが社への入社はさせないというのです。
『今、目の前のこと』に全力で取り組めない奴が将来は頑張れるなんてできるはずがないと。
ただ、今、目の前のことに全力を尽くす。言葉で言うのは簡単ですが本当に大切なことだと思います。
人はつい、未来や過去に目がいってしまうもの。
でも手にしているのは(変えられるのは)本当は、今、この時だけ。
当たり前のことだけど、本当に、本当に、大切なことだと思います。
父と私、そして私と息子
私は父に最後まで、『父の望む息子』を演じることをやめられませんでした。
根底には父を喜ばせたい気持ちがありました。
最後は生存の限界まできて、文字通りの意味で自分が生きるために、逃亡しました(笑)
同じ思いを息子にさせたくないんです。絶対。
だから私はとにかく自分の気持ちに嘘をつかず、ちゃんと正直になることを教えるつもり。
例え、もしそれが世間や私の望む姿と違っていたとしてもです。
最後は自分の気持ちを、それだけを、何よりも優先してほしい。
自分はどうしたいのか。
それを何よりも大切にしてほしいと願っています。