研究テーマ

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私の研究テーマは癌です。

長野県は高齢化が全国一進んでいて、日本の10年先をいっていると言われています。
その長野県の僻地病院で、私は2年間で多くの死亡診断書を書いてきました。

一番多かった死因は癌です。
癌で亡くなる方の多くは、衰弱死です。
悪液質と呼ばれる物質を癌細胞が放出し、体を衰弱死させます。

日本人の2人に1人が癌に罹り、3人に1人が死亡すると言われます。

こうすれば完全に治るという方法はありません。
一番有力なのは、分子標的薬と呼ばれる抗癌剤です。
現在、世界中の突出した頭脳の持ち主たちが、この研究に全力を挙げています。

癌の治療は大きく分けて3つあります。
手術と放射線抗癌剤です。
癌は血液やリンパ液に見えない形で潜んでいるのがやっかいで、
手術と放射線は局所療法といって、見える癌に対するものです。
つまり希望は抗癌剤にしかないということです。

抗癌剤は全身療法である代償として、癌細胞だけでなく、正常な細胞を殺します。

抗癌剤は大きく2種類に分けられ、殺細胞性の従来のものと分子標的薬に分かれます。
抗癌剤の最大の問題点は正常細胞の破壊です。
これをできるだけ抑えるために、分子標的薬といって、
癌細胞を選択的に壊す薬の開発に世界中の英知が注がれています。

癌を制圧する可能性があるのは分子標的薬ですが、
私たちが生きている間に達成できる可能性はほとんどないと思います。

だから医者は、一人ひとりの患者に向き合う必要があります。
特効薬があれば選択肢は一つですが、
そうじゃないなら、使える武器をフル動員ながら、一人ひとりとつき合っていく。
それしか方法はありません。

癌は医者に無力感を与えることもありますが、何かを教えてくれているのかも知れない。
そう思う時もあります。