
一度だけ、医者をやめようと思ったことがあります。
助けることのできたはずの命を助けることができなかったからです。
ぎりぎりの所で自分を医者に呼び戻したのは、なんだったんだろう。
悩み、苦しみ、でも、このまま医者をやめたら、医者になった意味がないなと思ったのもあった。
でも、やっぱり自分ひとりの力でここまで来たわけじゃなかったから。
そして、周りのみんなが自分を愛してくれ、支えてくれ、助けてくれたから、このままじゃ終われないという気がして、出口なんか見えなかったけど、はうようになんとか毎日を過ごした。
もう一度だけ自分を信じてみようとしていた。
2014年、春のこと。