長野県の僻地へ

僻地大町
医者になって3年目の夏、千葉大学を去ることを決めました。

自分が追い求めている道とは違ったからです。

私はどんな医者になりたかったんだろう?
はじめて本心で考えました。

それまでは、世間体や見栄、周りの反応、医師の世界での評価にどうしてもとらわれました。

それら外部評価をすべて捨てることを決断しました。大きな決断でした。

ただ、ただ、自分の心が何を求めているのか、何度も何度も耳を澄ませました。

臓器を深めていっても一人の人間としての像は描けなかった。
地域において、患者や家族の頼れる医者になるには、地域に出てみるのが良いだろうということで僻地に行こうと思いました。

こうして半年間の遠回りをして、ようやく私は医者としてのスタートを切ることができました。

常勤の内科医は私を入れて3人だけでした。
しかもその2人とは50代の副院長と内科部長でした。
飛んで火にいる夏の虫とはこのことでした。
私の想像をはるかに超えた世界でした。