胃がん

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黒木さんは胃がんのために32歳で亡くなりました。2015年のことです。

その年の正月にニュースキャスターに復帰し、さあこれからという時でした。

私の妹と同い年で、どんなにくやしかったかを思うと自分の心までもおかしくなりそうでした。

自暴自棄になってくると、彼女のような人を治せないのなら、私たち医者は存在価値がないような気になります。
一体、自分は何をしているんだと。
誰がどう考えても、理不尽で、こんなことでいいはずがありません。

償いにはなりませんが、私の気が済まないので、患者さんのピロリ菌を徹底的に除菌しています。
ピロリとかいうふざけた細菌には撲滅して頂きます。

WHOが正式にピロリ菌が胃がんの原因であると断定したレポートはWHO IARC Report 24 September 2014が世界初です。2014年の9月に断定しました。
このレポートによると、胃がんの8割がピロリ菌が原因であるとしています。

日本人は40歳以上で約8割がピロリ菌に感染しているとの調査結果が出ています。
(Asaka,M.,et al.:Gastroenterology,102,760,1992)
1992年の調査ですが、私の臨床での感覚とほぼ一致します。

感染は上下水道の不備といわれています。もちろん、ある時点で感染していないから生涯感染しないとは言い切れませんが、日本でふつうのインフラで生活していたら井戸水などをどんどん飲まない限り感染率はほとんどないと思います。ピロリ菌の発見で2005年にノーベル賞を受賞したマーシャルのように、ピロリ菌を飲んだら別ですが(笑)

医学会ではピロリ菌を撲滅できれば胃がんを撲滅できるとまでいっていますが、少なくとも胃がんが減ることは間違いありません。

とにかく、彼女への弔いとしてピロリ菌をこの世から消滅させたいと思います。

ちなみに除菌は1週間の抗生剤の内服です。